血液検査の結果をご報告するときに最初にお断りしなくてはならないのは、測定値の横に書いてある「基準値」のことです。多くの方はこの基準値内に入っていれば「正常」と勘違いしておられますが(私も以前はそうでした…)まったく違います。すなわち、基準値はあくまで基準であり、参考程度ということです。ちなみに英語では"reference value'と言います。
この基準値はどのようにして決められたものかというと、その検査会社の「社員」を採血して決められています。ではその社員はみんな健康で正常な値なのでしょうか?とてもそうとは思えません。もちろん極端に平均から外れた人の値は削除されて決まるわけですが、このような仕組みのため基準値とは検査会社によってバラバラです。すなわちA社では基準値内だが、B社では基準値外ということが頻発します。
基準値はあくまでその会社の基準で、参考にしてくださいという意味です。昨今の栄養の過不足を省みるまでもなく、統計の母集団には健康が思わしくない人が多数含まれていることでしょう。
もちろん会社により使う検査試薬も装置も違いますので、それだけでもバラツキがでてきます。そのような事を勘案して診断が進められます。
検査結果が基準値内で一安心と言いたいところですが、機械的にOKというような話であれば、それは小学生でもできる仕事で医師の仕事ではありません。測定値の上下変動には多くの要因が絡んできますので、徐々にご説明して行きたいと思います。
参考サイト:Blog:歯界良好 血液検査ってヘンだ?