DentalNutrition.jp

医療が、社会が、歴史が見誤ってきた「栄養」に焦点を当て、歯科・口腔外科の立場から、歯周病・インプラント周囲炎・はぎしり・不定愁訴について考えます。

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予防を突き詰めてゆくと、必然的に「栄養」の問題に直面します。「低栄養・隠れ栄養失調・阻害因子」を無視した医療のままで、高齢社会を乗り切れるのでしょうか?

Why, Nutrition ?

なぜ歯科・口腔外科で「栄養」の話が必要なのでしょう? 糖質制限・ケトン体・高タンパク高脂質食・阻害因子とは?急変した食と栄養の医療との関わりについてお伝えします。

What, Nutrition ?

血液検査と食事記録から栄養の過不足を解析し、全身を評価する手法とは?一般的な血液検査とはまったく異なる栄養医学療法の検査値の読み方などについてお伝えします。

What, Inhibitor ?

せっかく栄養を摂っても、吸収や利用を阻害するものがたくさんあります。毛髪ミネラル検査・有機酸検査・ピロリ菌検査・歯周病菌検査などについてお伝えします。

OpenSeminar

無料セミナー「サプリが効かない人のための90分 栄養阻害因子についてアレコレ」は12月3日(土)17:40から、東京銀座の吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニックにて行います。

Latest From The Blog

  • 12月3日はオープンセミナーへ

    Tweet Open Seminar vol.61 サプリが効かない人のための90分 ・・・栄養阻害因子についてアレコレ・・・ 平成28年12月3日(土)17:40より 参加無料! 健康には関心あるけで、サプリを使うのはイヤ! サプリメントって、いつまで使えばいいんですか? サプリなんてぜんぜん効かなかったんで、もうイヤです… ハィ、気持ちはよく解ります。しかしサプリメントを使うことだけが栄養医学療法ではありませんので、今回はそのお話です。 どうすれば良いのかというと、限られた栄養素を体内で有効利用できるように準備しておけば良いのです。本当に良い状態であれば、少ない栄養素も有効に廻せるはずなのです。 それには、あなたの体から「栄養阻害因子」を徹底的に除去すれば良いのです。何それ?って、意外な話をいたします。 タンパク質を摂ったらかえって調子が悪い、ビタミンを入れてるのに効果がない、糖質制限をしたらフラフラだ…は、なぜ? キーワードは「腸」と「重金属」、そして「××××」です! 歯周病やインプラント周囲炎を治したい方には特にお勧めいたします。 パンフレットのダウンロード 吉田歯科診療デンタルメンテナンスクリニック 予防と栄養医学療法 Tweet
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  • 包括的便総合検査(CSA)

    Tweet 腸内環境の大切さは、やっと周知されはじめた感があります。いくら食事を気をつけていても、高価なサプリメントを大量に飲んでいても、消化吸収がうまく行っていなければ効果はガタ落ちです。 腸の中では何がおきているのでしょう?それを調べるのがこの「包括的便総合検査(CSA=Comprehensive Stool Analysis)」。平たく言えばウンチ検査ですが、もちろんただの検便ではありません。   腸内細菌の分布 腸内にはなんと1.0~1,5kgの腸内細菌が生息し、あなたの消化吸収を手伝ったり、ビタミンの合成をしています。人は腸内細菌の力を借りて生きているのです。乳酸菌やビフィズス菌はその代表で、善玉菌と呼ばれます。検査結果でこれらが4+ならOK. しかし中には悪い奴がいて、消化吸収の邪魔をしたり、有害物質を産生したり、腸のフィルターを破壊します(LGS リーキーガットの事です)。代表的なのがカンジダ・ウェルシュ・クロストリジウムディフィシスというやつで、悪玉菌と呼ばれます。悪玉は年齢と共に増加して行きますので、「腸内年齢」が高齢化しないように気をつけなくてなりません。 また日和見菌とか境界菌と呼ばれる、善玉と悪玉の中間がいるのですが、これは善玉優勢のときは善玉に、悪玉優勢のときは悪玉に働きます。ですから生活習慣の中で、いかに善玉を増やすかが鍵になります。日和見菌は抗生物質やステロイドの乱用で増える傾向にあります。 注意しなくてはならないのはカンジダで、これは腸管壁に食い付いて離れないので、大便にはなかなか着いてこないので検査としては不確実。ですから有機酸検査と合わせて診断しなくてはなりません。 腸内細菌の種類や数は、抗生物質服用でバラバラになります。抜歯後の抗生物質はもちろん、ピロリ菌の除菌を行った後は特に注意が必要ですが、これは一般に知れ渡っていることではありません。   消化酵素の出具合 エラスターゼという項目で、消化酵素の能力を推察します。最低でも200はほしいのですが、けっこう低い方が多いです。   消化不良の程度 野菜の繊維・肉の繊維の残渣を観察して、消化の程度を診ます。すぐに膨満感がでる人はこの結果が悪いです。 また炭水化物や脂肪分の残りも診ることができます。脂肪分が多く残っているということは胆嚢の機能低下が疑われ、ビタミンAやDなどの脂溶性ビタミンの吸収が悪いことが予想されます。 歯が悪くて噛めなかったり、早食いの癖がある人は、とうぜん繊維が多く検出されます。つまり食材が有効利用されていないという事です。   腸が炎症を起こしているか 体のどこかに炎症があると、血液検査でCRPという項目が上がるのですが、腸は炎症を起こしてもあまり上昇しません。 しかしラクトフェリンとかライソザイム(リゾチーム)という項目が上がっていると、炎症があるだとろうと読みます。ライソザイムの基準値は600以下ですが、専門の先生に訊くと200以上あったら過敏性腸症候群(IBS)を疑うそうです。 潰瘍があると白血球も出てきます。   腸管免疫能 腸粘膜表面は、免疫の最前線であるIgAというガードシステムが働いています。この数値が上がっている場合は、精神的ストレスや、カンジダ増殖などで免疫に攻撃が加わっていると考えます。 逆に下がっている場合は疲れて上昇すら起こせないと読み、かなりガードが疲弊している事になります。したがって上昇していたのが下降しはじめたタイミングで検査をしてしまうと基準値に入ってしまい、判断を誤ります。ですから事前の問診はとても重要になります。   腸のエネルギー源があるか 実は大腸のエネルギー源は、善玉菌が食物繊維を分解して生産する「短鎖脂肪酸」というものです。これが少なければ、大腸はフラフラということになります。   効果のある薬の判定 大便に悪玉菌が付着してきた場合、培養してそれを叩くことができる抗生物質やハーブ系抗菌剤は何かを調べた結果がついてきます。   …これ以外にも様々な結果がでてきます。腸は免疫の70%を司る重要な臓器で、感染を扱う歯科口腔外科では腸の働きをもっと重視してよいと考えています。   検査方法 検査キットは以下の写真のようになっています。有機酸検査と同様に保冷剤が入っていますので、予め冷蔵庫に入れておきましょう。 検査2日前からは、胃腸薬・アスピリン・消炎鎮痛剤・抗生物質・鉄サプリ・ビタミンCサプリの使用を停止します。また乳酸菌製剤を使用の場合は中止はしませんが、薬品名を予め知っておかなくてはなりません。また多量の肉摂取も控えます。 大便は毎日性状が変わるため、一回だけでは検出しきれず、2日分を採取します。ここがネックになるのですが、つまり一回目の検体を冷蔵庫で保管しておかなくてはならないので、誰かに見つかるとたいへんです。コッソリやりましょう。 また便秘の方はなかなか2日連続で採取できず、結局一回分の検体だけで検査に出すことになります。そのぶん精度が落ちてしまいますが、これはもうしかたがないですね。何も解らないよりも、よっぽどましです。 包括的便総合検査の検査キット   歯科口腔外科での応用 ということで、この包括的便検査は多少面倒なのですが、得られる情報はかなり多く、他に変わる検査がありません。いろいろな検査をしている人でも、この検査だけはしていないという方が多いようです。 私たちの所では手術前評価やメンテナンスの指標として何件か測定しましたが、腸内細菌の質が良くなく、長年抗生物質の悪影響を受けてきたり、カンジダやストレスの影響で消化吸収が廻っていない方がみられます。 手術で抗生物質を使わなくてはならない場合、最初から腸の状態が悪いと不快症状が出やすいことになり注意が必要です。 また高価な乳酸菌製剤を使っているにもかかわらず、検査で乳酸菌が1+と少ない方もおられました。これは相性の問題で、同じ乳酸菌製剤ばかり使うよりも、違う製品を使って多様性を持たせる必要があることを示唆しています。 サプリメントに頼らずに食事だけで栄養を摂りたいとおっしゃる方が多いのですが、であればなおさら腸内環境を即刻整備するべきでしょう。そしてきちんとした噛み合わせができる歯で、最低でも一口30回、できれば100回噛むことで低下した腸の機能を助けることができます。 子供の頃から柔らかく加工された食材に慣れており、たいして噛まずに飲み込む習慣から抜け出せないと、腸内環境は悪化の一路を辿ります。病気とは実はこんな経路で発症して行くのです。 とにかく腸が超重要、特にサプリメントの効果が出ずに困っている方には是非やっていただきたい検査の一つです。 なお検査には誤差や検出限界というものがつきものです。この包括的便検査はバラツキが出やすく、これだけで判断してはいけません。最低でも血液検査が必要で、できれば有機酸検査と併用し、またアンケート(問診)も重要な判断材料となることを忘れてはいけません。   《参考サイト》 腸内環境検査 ドクターズデーター社 便総合検査(CSA) 栄養療法.jp 包括的便検査(CSA) 宮澤医院 根本療法外来 吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック 予防と栄養医学療法 Tweet
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  • 腸内環境と乳酸菌

    Tweet私が実際に使っている乳酸菌製剤 腸が超重要と、オヤジを飛ばしてしまいましたが、冗談ではなく本当に一番重要なのが「腸内環境が正常か」ということです。ここがうまく行っていないと、いくら栄養を正しく摂っても吸収してくれません。また逆に不要なものを吸収してしまったり、排出もしてくれません。 サプリメントを大量に摂っているにもかかわらず結果が思わしくない方は多いようですが、吸収障害が起きている可能性が高いので、一度腸内環境を見直す必要があります。 ペプシノーゲンの項でもお話ししたように、日本人は欧米人に比べて胃腸が弱い、すなわち消化吸収が劣る傾向にあります。栄養医学は欧米からやってきたものですから、日本人はこの点に注意する必要があります。 腸というと栄養や水分の吸収しかしないように思われるかもしれませんが、それだけではなく、実はそこに生息する細菌の質と量が健康に多大な影響を及ぼします。何といっても腸は免疫の70%に関与しており、細菌感染が原因である歯周病やインプラント周囲炎の治療に最終的に重要です。 大腸のエネルギー源は短鎖脂肪酸と呼ばれるもので、これは腸内細菌が食物繊維を分解して生産してくれます。すなわち、人間は腸内細菌の力なくして生きてゆくことはできないのです。 大腸の表面は絨毛(じゅうもう)と呼ばれる、絨毯(じゅうたん)のような凹凸構造をしており、その表面積はテニスコート一面分に相当するほど広大です。そしてそこにはビッシリと隙間なく腸内細菌が生息しており、その総重量は1kgもあります。 腸内細菌には乳酸菌やビフィズス菌のような有用な善玉菌・カンジダやクロストリジウムのような悪玉菌・中間の日和見菌に大別されます。 ここで問題になるのは悪玉菌で、善玉菌が減ってくると日和見菌を味方につけて、勢力を拡大します。こうなると腸の免疫産生はガタンと落ちます。つまりイマイチ調子が悪い、しかしそんな状態に慣れてしまい気付かない典型パターンに陥ります。下痢や便秘を放置しているかたが普通におられますが、これがプロローグにも書いたイマイチ現象です。 とくにカンジダは腸の粘膜に穴を空け根を張りますので、腸の精密フィルターがザルになって、未消化のタンパク質がどんどん血流に乗ってしまいます。これがリーキーガット(腸管浸漏)症候群、いわゆる「腸漏れ」という病態で、食後1~2日経ってから徐々に現れる隠れアレルギー(遅延型食物アレルギー・IgGアレルギー)の原因となります。 このような状態を改善させるのに一番効果があるのが、糖質制限です。糖質はそのままカンジダのエサになりますので、まずそこから絶たなくてはなりません。そしてその次に来るのが乳酸菌です。 私はプレーンヨーグルトをよく食べていたのですが、有機酸検査でカンジダの痕跡が確認されたので、ヨーグルトはやめて写真のような医療用乳酸菌製剤などを使っています。それなりの金額はしますが、将来明らかに大きなリターンがあるノーリスクな投資です。 私自身も体調に大きな異常を自覚してはいませんが、おそらくリーキーガットの状態であったことでしょう。現在、鋭意修復中ですが、患者さんの中にも有機酸検査でアラビノースと酒石酸が上がっている方がおられますので、不定愁訴の解消に乳酸菌製剤を積極的にお勧めしています。 なおカンジダ菌の存在は有機酸検査の他にも、広範囲便検査で明らかになることもあります。また歯周ポケットから検出される方もおられリスクが高まりますので、歯周病やインプラント周囲炎の治療にさいしては、最新の歯周病原菌検査をお勧めしております。 歯科・口腔外科で腸の話を聴くことははまだ稀だと思いますが、食文化に大いに問題があることがわかった以上、腸からのアプローチが今後拡大することは確実でしょう。 吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニック 予防と栄養医学療法 Tweet
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  • 血糖スパイク

    Tweet 現代人の食事は糖質が極端に多く、実に様々な悪影響を招いています。 誰もが知っているのはムシ歯で、歯科では患者さんに糖質の悪影響を説明することは日常茶飯です。しかし実はそれ以外にもたいへんな問題を引き起こしています。 その中の一つに「血糖値の乱高下」というものがあります。血糖値というと糖尿病の人以外には無関係のように思われていましたが、実は万人に大アリであることが解かってきました。   血糖値は乱高下する 血糖値とは血液中のブドウ糖の量だと思ってください。平常時ではだいたい90~100 mg/dlと言われていますが、ゴハンを食べると炭水化物は糖質に分解され、30~60分かけて150近くまで上昇します。 血糖値が上がると膵臓からインスリンというホルモンが出てきて、糖分を血中から細胞内に取り込む指令を出します。その結果、血糖値はまた元の値に戻る………というのが従来からの定説です。 ところが実際にはそんな単純ではなく、血糖値とは「ものすごく変動し、それに伴っていろいろな不都合が発生する」という事が解かってきました。これは血糖値を連続して自動で測る機械が出てきて、いろんな結果が集まってきたからなのです。 血糖値は上がって元に戻るのではなく、実は一旦平常時よりも下がります。どうやらそんなに正確にコントロールできないようなのです。 下がりすぎると生命が危なくなりますので、今度は副腎というところからアドレナリンとかコルチゾールという「興奮系のホルモン」が出てきます。これらは肝臓に働きかけ、糖分を合成させ血糖値を上げようとします(糖新生って言います)。 ところがこれもコントロールが正確にできるわけではないようで、上がり過ぎてしまいます。ということで、これらの過程を繰り返して、やっと90~100くらいに安定することになります。 この上下動は緩ければ緩いほど生体に安全なのですが、急激に起きると血糖値の下のピーク付近の時間帯で、眠気・不安感・歯ぎしり・寝汗といった、いわゆる不定愁訴が発生しやすくなります。急激な低血糖でエネルギーが切れている状況で、興奮系ホルモンが体にムチを入れるからです。午後3時くらいに眠くなる方の原因は、ほぼこれであり、夜間の歯ぎしりも血糖値の影響がかなり出ているようです。 さらに、血糖値がやっと安定するかという時間にまた糖質を入れると、さっきよりひどい乱高下が始まります。多くの人はこれに気付かず生活をしているということです。   乱高下の原因 血糖値の上がり方が急激な方は、下がるのもまた急です。これが日常化していると調節障害を起こし、上のピークは200を軽く超えてしまいます。こうなると血管の中では活性酸素という猛毒が大量に産生され、動脈硬化となります。 血糖値を特に急上昇させやすいのは、人工的に精製された純度の高い糖分を入れた時です。たとえば、 白米 白パン 白砂糖 果糖ブドウ糖液糖 なんてのがよくあるもので、これを空きっ腹に入れたらさらに危険です。いわゆるスポーツドリンクの大きな問題点はこれで、あまりに急激なピークなので「血糖スパイク」と呼ばれています。 血糖値は上にスパイクを起こしても、下にもスパイクの時間帯があるので、1日を通して平均は90~100と正常範囲に入ってしまいます。これが病気を見逃している大きなポイントで、たとえば糖尿病の指標であるHbA1c(ヘモグロビンA1c)は直近2~3ヶ月の平均血糖値を反映しますが、血糖スパイクの悪影響は反映せず、基準値内で異常なしと言われてしまいます。もはやHbA1cだけでは糖尿病の評価はできなくなってしまいました。 そこで私たちが診ているのは1.5AGという検査値です。1.5AGは血糖値の乱高下を反映し、これが10を切ると相当な糖質依存で、血糖値の乱高下を繰り返しているだろうと読みます。   糖質は一時的なエネルギー 糖質は大切な栄養素と言われていますが、これは一時的で急激なエネルギー供給用であることが解っています。これをさらに高純度した食品を何の疑問も持たずに食べるのが現代人ですが、生体はそのようなものに適応できるよにはできていなかったようです。 それに対しタンパク質・脂質は血糖値を上げることはなく、持続的なエネルギー供給が可能です。特に脂質は人類本来のエネルギー源であることが明らかになってきており(ケトン体というものを生産します)、糖質は補助的な役割であったことが人類史から推測されるようになりました。 タンパク質・脂質・糖質が三大栄養素と言われ、その比率は2:2:6であると家庭科の授業で習います。しかしこの比率にいったいどのような根拠があるかはまったく不明で、ただ慣例的に用いられてきただけのようです。 このように食事・栄養の常識が大きく崩れ出している事に、多くの人が気がついて欲しいと思っています。そしてそれが予防や医療費削減の決定打になることに、疑いの余地はありません。   《参考サイト》 歯ぎしり、寝汗…潜む意外な原因「夜間低血糖」 日経メディカル&ヘルス Tweet
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  • ペプシノーゲンを測ってみよう

    Tweet 私たちのところでは、初回の血液検査では必ずペプシノーゲンというものを測らせてもらっています。 その前に、ペプシンて聞いた事ありませんか?胃から出る消化液、簡単に言うと強酸です。ペプシンは胃の中でタンパク質を分解し、小腸から吸収しやすい形に変える役割をしています。したがってペプシンが少なければ消化不良でせっかく食べたものも吸収されず、無駄になってしまいます。それどころか、後で書くように悪影響が出てしまいます。 このペプシンが胃にちゃんと出ているかどうかを直接測るのはちょっと面倒なのですが、血液中のペプシノーゲンというものを測るとだいたい状態が解ります。ペプシノーゲンは胃で造られ、その99%はペプシンに変換され、残りは血液中に入りますので、採血して測定する事ができます。 ペプシノーゲンにはIとIIがあり、Iは胃底腺というところから、IIは噴門とか幽門ということろから分泌されます。Iが70以上あるとペプシンの分泌は十分と判断され、またIはIIの3倍以上が良いとされています。この事から、以下のように推察します。 1・Iが70以上 I/IIが3以上 → 問題なし 2・Iが70未満 I/IIが3未満 → ちょっと心配 3・Iが50未満 I/IIが3未満 → かなり心配 4・Iが30未満 I/IIが2未満 → すごい心配 胃が炎症を起こし萎縮してくると、この値が悪くなって行きます。胃癌の検診に良く用いられるのはそのためで、4のような状態の方は直ちに胃カメラでの診断が必要です。 また胃癌の原因とも言われるピロリ菌がいると萎縮が進むので、ペプシノーゲンの値が悪くなってきます。ですからこの検査と同時にピロリ菌がいるかどうかの検査も同時に行っています(抗ヘリコバクターピロリIgG検査と言います)。 さて私たちのところでペプシノーゲンを測ってみた結果ですが、実はIが70以上の方は未だに一人もおられません。50以下の方も半数で、ピロリ菌検査で陽性になった方も多数おられます。私たちのところには特に胃症状がある患者さんが集まるわけではないので、一見正常な人であっても胃酸の量がたいへん少ない人がかなり多いと推察されます。 さてそうすると、消化吸収不良はほとんどの方に起きていると予想します。また胃の調子が悪いからといって、自己判断で胃薬(胃酸抑制剤)を使っている人はかなり危険です。 ペプシノーゲン値が悪い方は、総蛋白やアルブミンの値が悪い方が多く、これは歯肉や骨の治りの良し悪しに直接響きます。つまり歯周病治療やインプラントの維持にはとても重要だと考えています。 解決策はと言えば、胃酸を増やすためにその原材料を増やすという事が考えられます。ところがその原材料とはタンパク質です。胃酸が少ないところにただタンパク質を増やしては、また消化不良で逆効果です。補助として消化酵素剤を適宜使う必要がありますが、それに頼るのではなく最終的には胃酸が出る体質に戻す必要があります。したがってビタミンやミネラルのバランスを是正してゆく必要があります。 一つよい改善策があります。それは「良く噛む」ことです。良く噛めば食物は細断され、胃酸との接触機会が増えます。つまりタンパク質の分解効率はアップ、そのまま小腸での吸収効率もアップ、これはお手軽です! なのに現代人は一般に噛む回数が少なすぎます。それでもたいした自覚症状がでないのも、現代人が楽な生活環境を手にしているからです。しかし実は体は悲鳴をあげています。体の中の多くの化学反応(代謝って言います)が滞り、不定愁訴を連発します。このような状態で手術に入るのは、やはりどうかと思います。 さて私自身が栄養医学療法を適用する前のペプシノーゲンの値は、Iが58,4・I/IIが4.9で、上記の判定1と2の間でした。その後人生初めて胃カメラを飲んでみましたが、結果はキレイな胃粘膜で問題なしでした。今はタンパク質とビタミンB群を多くした食生活なので、いくらかは改善しているのではないかと思います。 ペプシノーゲン検査は最近では胃癌検診で頻繁に行われるようになり、バリウムを飲んでレントゲンというのは少なくなってきたようです。健康保険では測れませんが、自分で測るキットも売られており、手軽に胃の状態を把握できる時代になりました(かなり高額ですが…)。ただしその値には個人差が大きいことも忘れてはなりません。 一般に東洋人は、欧米人と比べて胃酸が弱いという話を聞いた事があります。そうでなくても飽食の時代でバランスが崩れ、ストレスで胃がやられ、隠れ栄養失調が蔓延している時代です。食材を選び、良く噛むこと、そのためにもきちんと噛める歯を維持することが重要だと言えますね。 ちなみにペプシコーラの語源は、ペプシンなのだそうです。消化剤を主原料としていたそうですが、今はどうなんでしょうね? Tweet
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